複数の売主が名を連ねる物件には、その物件事業の安定性が期待できる半面、工事監理が甘くなるというような利益相反が懸念される。
複数の売主が名を連ねる物件のメリット:事業の安定性
売主が複数名を連ねることのメリットは何か?
売主サイドの最大のメリットは、事業リスクの分散だ。
では、この複数の売主からなる物件は、買主サイドにとって、どのようなメリットがあるのか?
ひとつは、その物件事業の安定性が期待できること。
複数の売主が同時に倒産する可能性は少ない。
また、たとえメジャー出資会社の発言力が大きいとしても、重要事項については他のマイナー出資会社の反対を押し切って進めることはできない。
だから1社が暴走することの抑止効果も期待できる(ただ、責任の所在が曖昧になりやすいというデメリットもあるが)。
複数の売主が名を連ねる物件のデメリット:利益相反
では、複数の売主が名を連ねることは、いいことばかりかといえば、そうとも限らない。
最も注意しなければならないのは、複数の売主の中に、施工会社が含まれている場合だ。
売主(=マンション建設の発注者)と施工会社(=マンション建設の受注者)は、利益相反することがあり得るからだ。
売主が施工会社を兼ねている場合には、工事監理が甘くなるという基本的な構図を避けて通ることは難しい・・・・・・。