不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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苗木が成長するまでに要する年数を付記する必要あり

戸建住宅地の一角にそびえる大規模マンション。

【第1期2次本広告】東京駅36分(途中徒歩5分JRに乗り換え・快速利用)、駅徒歩5分。総戸数115戸、10階建。販売戸数16戸、1LDK+2S(68.16m2)〜4LDK(93.56m2)。販売価格2,980万円〜4,790万円、最多価格帯3,800万円台。平成20年6月中下旬竣工(本チラシ掲載日の9カ月後)。

B3サイズの広告オモテ面に、建物を緑が囲むCGパース4枚。

  • CGパースで表現されている植栽は、竣工から初期の生育期間を経たものを想定して描いております。
  • 竣工時は植物の生育を見込んで必要な間隔をとって植えております。

植栽のCG処理について、ずいぶんと丁寧な注釈だ。
この注釈からは、竣工時には、マンションを小さな苗木が、まばらに取り囲んでいる様子が想像される。
さて、植栽のCG処理について、広告表示ルールはどうなっているのか?
業界の自主ルール「不動産の表示に関する公正競争規約施行規則」第11条 第23号では、次のように規定されている。

宅地又は建物の見取図、完成図又は完成予想図は、その旨を明示して用い、当該物件の周囲の状況について表示するときは、現況に反する表示をしないこと。

広告表示ルールでは、このように現況に反する表示を禁止しているのだが、植栽CGの扱いまでは言及していない。
そこで、不動産広告のバイブルである、不動産公正取引協議会連合会 公正競争規約研究会の編による「不動産広告の実務と規制 (住宅・不動産実務ブック)(8訂版)」をひもといてみると、次のようなズバリの解説が載っていた。

(前略)
苗木を植える場合に、完成予想図ではその樹木が成長した状態を予想して描くことが多いが、現状は苗木であること及び予想図に描かれた状態に成長するまでに要するおおよその年数を付記しない限り、不当な表示となろう
最近、本号(第11条 第23号のこと)に違反する表示が増えているが、コンピュータグラフィック(CG)の普及にもその一因があるようである。

この解説に従えば、本日のチラシには、植栽CGについてこまごまと注釈されてはいるが、「予想図に描かれた状態に成長するまでに要するおおよその年数」が付記されていないという点で、不当な表示ということになる。
それにしても、そのような年数を付記したマンション・チラシをこれまで「観測」したことがない。

(本日、マンション広告5枚)

2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
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