不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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使い捨てマンション

NTTの鉄塔搭載ビル(北側)と20階建て大規模マンション(南側)に挟まれた、定期借地権付きの超高層マンション。

東京駅直通25分(快速利用)、駅徒歩10分。総戸数315戸、38階建。販売戸数未定、1LDK(56.37m2)〜4LDK(118.56m2)。販売価格未定。平成21年7月下旬竣工(本チラシ掲載日の2年2カ月後)。

4年前に完成した、敷地南側に立つ日本最大(当時)の定期借地権付きマンションに続き、今度は定期借地権付きの超高層マンションだ。
超高層マンションの抱えている社会構造的な問題に加え、「一般定期借地権」付きであることがより問題を深刻化させていないか。
一般定期借地権付きの要件は―

  • 契約の更新がないこと
  • 建物の再築による存続期間の延長がないこと
  • 借地人が建物買取請求をしないこと

本物件は、一般定期借地権(51年)となっているから、20〜30年経つと急激に資産価値が低下するのと併行して、定期修繕がおろそかになる(ゴーストタウン化が進行する)。
51年後の取り壊し費用を積み立てておかなければならないのだが、超高層マンションの撤去費用は、中低層マンションよりも多額の費用を要する。
それまでに積み立てた額が不足していたり、取り壊しの費用を拠出できない住民がいたり、あるいは明け渡しを遅延した住民がいたりすると、それらの負担は他の住民が負うことになる。
現在のあなたの年齢が30歳として、51年後は81歳。
そのような煩わしさに構っていられる年齢ではないだろう。
定期借地マンションが生まれたのは、平成4年8月以降だから、平成54年になってみなければ、ことの次第は分からない。
51年後に問題が顕在化したとしても、売り主サイドの関係者はすでに誰もいない。
資源の有効活用が叫ばれる中、50年の定期借地権付きの超高層マンション(=使い捨てマンション)を憂う。

(本日、マンション2枚)

2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
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