不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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建物の基本性能を開示していない広告は―

土曜日、マンション広告1枚。

  • 3月24日(金)、6月9日(金)、8月5日(土)、9月23日(土)の物件と同じ。

大手町駅直通15分、駅徒歩8分。総戸数67戸、10階建。販売戸数未定、3LDK(67.65m2)〜4LDK(89.83m2)。販売価格未定。平成19年1月末竣工(本チラシ掲載日の3カ月後)。

第一種住居地区に建つ、10階建ての中規模マンション。
チラシのオモテ面に記載されたキャッチコピーを一字一句追っていくと、つい突っ込みたくなってしまう。

  • 新しく住まいを選ぶととき、「将来性」はとても重要なキーワードです。
  • 確かな住宅品質や、街の住みやすさ、そして家族の未来・・・等々、いつまでも心地よく過ごせる快適性を追及した〇〇(=物件名)。

ここでいう「将来性」とは、居住装置としてのマンションが、将来にわたって高い資産価値を維持することを意味しているのか。
それとも物件が建つ地域が、理想的な都市計画のもと、将来に渡ってより良く整備されていく姿を意味しているのか。
あるいは、ハード(居住装置としてのマンション)とソフト(周辺地域の環境)の両面のことをいっているのか、広告には具体的な記載が見あたらない。

  • 住む人の視点に立った暮らしやすい設計・設備・仕様を備えた、信頼にお応えできる自信作です。

売主は「自信作」と宣言しているものの、広告に記載されている「設計・設備・仕様」の具体的な内容といえば―。
指紋認証システム・TVモニター付オートロックシステムといったセキュリティシステムの紹介や、温水床暖房・低床ユニットバス・ミストサウナ・システムキッチン・ハンドシャワー付水栓・三面鏡裏収納といった、お手軽なカタログ設備的機器類の紹介にとどまっている。
耐震性能や遮音性能の設計コンセプトや具体的な仕様は、どこにも記されていない。
マンションの「将来性」を判断するためには、立地環境条件に加え、建物の基本性能(耐震性能、遮音性能、断熱性能など)の確認が必要であることは論を待たないだろう。
本物件の広告には、建物の基本性能に係る情報がまったく開示されていない。
物件のホームページを調べてみると、床はコンクリートスラブへのフローリング直貼り(遮音性の高い二重構造ではない!)となっているではないか。
ホームページには、「隣戸への音漏れに配慮した壁厚と二重構造の天井」と表現されているから、「二重床構造」を採用しているものと誤認しやすい。
また、ここで気を付けなければならないのは「隣戸への音漏れに配慮」しているのは、あくまでもクロス直仕上げの厚さ180mmの戸境壁のことであるということ。
「二重構造の天井」は、「隣戸への音漏れに配慮」しているわけではない。
消費者に正確に情報を伝えるのであれば、「二重構造の天井と隣戸への音漏れに配慮した壁厚」と表現すべきだろう。


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