不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

首都圏を中心に、マンション選びのためのお役立ち情報を提供しています


「無料駐車場」の意味するところは―

5階建て27戸、第一種中高層住居専用地域に立つ、竣工済みの小規模マンション。

大手町駅直通14分、駅徒歩14分。総戸数27戸、5階建。販売戸数2戸、3LDK(65.03m2)〜70.06m2)。販売価格4,259万円〜4,399万円。平成18年3月17日竣工済み(本チラシ掲載日の6カ月前)。

  • 9月2日(金)、2月24日(金)、3月11日(土)の物件と同じ。
  • 敷地内100%無料駐車場
    • レジャーに、ビジネスに、快適なカーライフをおとどけするために、敷地内に無料駐車場100%をご用意しています。
    • あらたに駐車場を借りる手間やコストが掛かりませんので、便利で経済的です。
    • 駐車場を使用しない方には、賃貸にすることで収入を得ることができる点もメリットです。

よくみかける「無料駐車場」の広告だ。
でも、よく見ると、その下に更に小さな文字で、次の2つの注釈が記されている。

  • ※敷地内駐車場の使用料0円は、管理組合発足後変更となる場合があり、将来に渡って保証されるものではありません。
  • ※機械式駐車場の点検費用は管理費に含まれています。(各戸の費用負担は各専有面積の大きさによって異なり、およそ月額1,890円から2,190円となります)

この「無料駐車場」が意味するところをお分かりいただけるだろうか?
「無料駐車場」が使用料0円であることが、将来に渡って保証されていない、とわざわざ釈明しているが―。
「管理組合発足後変更となる場合」を見込んでの確信犯なのだいることがミエミエでないか
機械式駐車場だから、平置き式の駐車場と違って、そもそも「無料」であろうはずもなく、毎月の維持点検のための出費を確実に必要とする。
この維持管理費を最初から管理費に組み込んでしまっておいて、「無料」と謳っているのだ。
特に、高い維持管理費用を要する機械式駐車場の場合、将来の更新のことも考えると、駐車場使用料は、「管理費」とは別に、駐車場の単独会計として明確に区分すべきだ。
広告に示された「およそ月額1,890円から2,190円」では、適切に維持管理できるかどうかも怪しい。
(財)駐車場整備推進機構の「集合住宅における駐車場増設の進め方」によれば、機械式
駐車場(二段・多段式)の月々の維持管理費は、1台あたり2,000円〜4,000円となっている。
駐車場の維持管理費が、いつのまにか管理費を侵食しているような事態にならなければいいのだが・・・・・・。
仮に駐車場の維持管理費が「月額1,890円から2,190円」に収まったとしても、20年後の機械式駐車場の建て替え費用は、いったいどうするのか?
機械式駐車場の法定耐用年数は15年だぞ!


もうひとつ問題を指摘するならば―。
機械式駐車場の点検費用が管理費に組み込まれてしまった結果、「各戸の費用負担は各専有面積の大きさによって異なる」点だ。
つまり、各戸が利用する機械式駐車場は、スペースも位置もさほど違いがないのに、費用負担は、専有面積が大きいほど出費が掛かるということ。
これは、どう考えても不公平な設定だ。
専有面積の大きい住戸に住む金持ちに多く負担してもらうというのは、この場合、筋が通らない。

(本日、マンション広告3枚)

2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
Copyright(C)マンション・チラシの定点観測. All rights reserved.