不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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“ワイドスパン”とは、何メートルのことか?

専有面積ごとにみたスパン8m以上の住戸

駅から遠い小規模マンション。

東京駅直通13分(快速利用)、駅徒歩18分。総戸数49戸、8階建。販売戸数未定、2LDK(56.38m2)〜4LDK(90.93m2)。予定販売価格3,060万円〜5,990万円。平成19年4月下旬竣工(本チラシ掲載日の8カ月後)。

広告に掲載されている3つの間取りは、次のとおり。

  • Nrタイプ:4LDK/87.69m2 -- ワイドスパン約10.0m
  • Hタイプ:3LDK/79.02m2
  • Iタイプ:3LDK/72.88m2 -- ワイドスパン約7.1m

これら3つの間取り図を眺めていて、おっやと思ったのは、“ワイドスパン”表示だ。
Nrタイプ(4LDK/87.69m2)の間取り図には「ワイドスパン約10.0m」、Iタイプ(3LDK/72.88m2)には「ワイドスパン約7.1m」との書き込みがあるのに―。
Iタイプ(3LDK/72.88m2)より専有面積が広いHタイプ(3LDK/79.02m2)には、“ワイドスパン”が謳われていない。
物差しで計ってみると、たしかにIタイプ(3LDK/72.88m2)よりHタイプ(3LDK/79.02m2)のほうがスパンが狭い。
広告には縮尺が明記されていないのだが、きっと、Hタイプ(3LDK/79.02m2)のスパンは7m未満ということなのだろう。
ところで、広告でよく見かけるこの“ワイドスパン”。 いったい何メートルあれば“ワイド”と呼べるのか?
ネットで調べてみたところ次のようになっている。

【Yahoo!不動産】
建築構造物で、梁やアーチなどの2つの支点を結ぶ距離(さしわたし)のことを「スパン(span)」という。
マンションでは、バルコニー側の間口が広いタイプのことを「ワイドスパン」と呼ぶ。
厳密な広さの定義はないが、通常は間口6m程度が一般的なため、それよりも広い7〜8m以上ならワイドスパンといっているようだ。
逆に、間口が狭いタイプは一般に「フロンテージ・セーブ型」「うなぎの寝床型」などという。


【新築マンションHOME4U(株式会社NTTデータ)】
マンションの間取りで、スパン(間隔)がワイド(広い)なことを指す。南向きで窓が多い一辺が広い、そんな間取りがワイドスパンとなる。奥行きが深く、隣戸との境の壁が長い、“ウナギの寝床”状の間取りとは、対局に位置するものだ。
75m2程度の平均的3LDKの場合、窓の多い面のスパンは通常6mくらい。それ以上であればワイドスパンと呼ばれる。


【住友不動産販売】
間口、すなわちバルコニー側の柱と柱(もしくは壁)の間が広いタイプを「ワイドスパン」といいます。厳密な広さの定義はありませんが、一般的な間口が6m程度のため、それよりも広い7m〜8m以上のものを指します。

ようするに、“ワイドスパン”の厳密な定義はないが、一般的な間口が6m程度だから、7m以上の間口であれば、“ワイドスパン”と呼んでもいいのではないかというのが共通認識のようだ。
では、一般的な間口が6m程度というが、実際のところ、どうなのか?
リクルート社の「住宅情報ナビ」に登録されている首都圏の分譲マンション全1,109件(2006年9月2日現在)の内訳を調べてみた。
※残念ながら、「住宅情報ナビ」のデータからは「ワイドスパン8m以上」の物件情報しか抽出できない。
グラフに示したように、専有面積ごとにみた、スパン8m以上の住戸が存在している物件の割合は、専有面積60m2〜70m2で10%、70m2〜80m2で17%、80m2〜90m2で22%となっている。
ということで、スパン8m以上の住戸は、1割から2割程度しか供給されていないことがわかった。
だからスパン8m以上の住戸であれば“ワイド”の称号を与えてもいいのかもしれない。

(本日、マンション8枚)

2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
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