不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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外壁がタイルか吹き付けか未定の物件

湾岸地域に建つ、大規模分譲マンション。

東京駅直通16分(快速利用)、駅バス10分+徒歩2分。総戸数550戸、18階建。販売戸数未定、4LDK(108.10〜182.64m2)。販売価格未定。平成19年3月下旬竣工(本チラシ掲載日の1年5カ月後)。

住戸平均の専有面積が120m2と、とっても広いのが本物件の売りのひとつ。
新聞全紙大のチラシには、東京湾を望む写真や見栄えのする周辺のホテルの外観写真などが掲載されている。
なのに、本マンションの外観CGが掲載されていないのは、なぜ?
気になったので電話取材した。

  • 筆者「チラシには外観のわかるCGがないのですが、どのような外観になるのですか?」
  • 女性販売員「少々お待ちください。(他の人に相談している様子) イメージ写真はまだできていません」
  • 筆者「まだできていないのですかぁ」
  • 女性販売員「パンフレットをお送りいたしますが―」
  • 筆者「外壁の仕様はどうなっていますか?」
  • 女性販売員「少々お待ちください。(他のスタッフに相談している様子) わかりません」
  • 筆者「外壁はタイルなのでしょうか、吹き付けなのでしょうか?」
  • 女性販売員「少々お待ちください。(他のスタッフに相談している様子) わかりません」
  • 筆者「『わからない』というのは、まだ決まっていないという意味でしょうか?」
  • 女性販売員「少々お待ちください。(他のスタッフに相談している様子) まだ決まっていないということです」
  • 筆者「仕上げ表で確認できませんか?」
  • 女性販売員「少々お待ちください。(他のスタッフに相談している様子) まだ上がってきていません」
  • 筆者「『上がってきていない』というのは、どういう意味でしょうか?」
  • 女性販売員「不動産会社から、まだ上がってきていません」
  • 筆者「タイルを採用しないこともあるのでしょうか?」
  • 女性販売員「少々お待ちください。(他のスタッフに相談している様子) タイルか吹き付けか、まだ決まっていません」

女性販売員の説明が正しいとすれば、本マンションの外壁の仕様は、まだ決まってないということになる。
タイルであれば、高級感があるだけでなく、外壁コンクリートをしっかり保護してくれる。
一方、吹き付け仕上げとなると、タイル仕上げに比べて、高級感に欠ける。
また、吹き付け仕上げは、建設費は安価なのだが、外壁コンクリートの保護機能の回復と、美観維持の観点から10年程度ごとに吹き付けし直す必要がある。

本物件は、海のすぐそばに建つから、塩害を考慮すると、吹き付け仕上げだと修繕サイクルは更に短くなるかもしれない。
このように外壁に吹き付け仕上げを採用した場合、分譲価格を抑えることはできても、毎年の外壁の修繕費用はかさむことになってしまう。

一般の人が、チラシをみただけで、外壁がタイル張りであるか否かまで関心を寄せることはあまりないだろう。
仮にチラシにマンションの外観CGが掲載されていたとしても、遠景であれば、依然として外壁の仕様は認識されないままだ。
仕上げ表が入手できれば、タイル仕上げか否か分かるのだが、一般の人が仕上げ表をうまく読み解けるかどうかというハードルがまだ残っている。
たとえば生命保険の契約前に、約款を隅から隅まで目を通す人が少ないのと同じ。

本物件の外壁にタイル仕様が採用されるのか、吹き付け仕様が採用されるのか、今後とも『観測』していくこととしよう。

(本日、マンション3枚)

2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
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