不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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超高層マンションのメリット・デメリット

超高層マンションのメリット・デメリットについて、ネット上の匿名掲示板ではさまざまな意見が飛び交っている。
本日は、日本建築学会の会報である「建築雑誌」2005年8月号の記事「建築のここが知りたい/超高層マンション」から、二人の対照的な意見(要約)を紹介しよう。

業界人:三菱地所設計の役員氏の意見(デメリットへの言及なし)。

  • 都市の公園や利便施設を有効に利用できる立地、土地の高度利用による販売価格の低下、高層階からの眺望の良さや充実した共用施設など
  • 免震構造や制震構造、快適な住宅設備や魅力的なインテリアなど、居住者が最新のソフトやハードを享受できる
  • 真の価値は、超高層マンションが都市居住者の多様なライフスタイルやニーズを受け止める都市住宅として、高いポテンシャルを備えている
  • 住戸の規模や各住戸のプランニングの自由度を高め、多様なライフスタイル・ライフステージに対応した多種多様なプランが実現され、同時に将来の変化に備えた可変性も担保されている
  • これは、戸境壁を構造壁として利用するため、プラニングの自由度が相対的に低くなる一般的な板形状マンションとの大きな違い

学識者:奈良女子大学生活環境学部 瀬渡章子教授の意見(メリットについては省略。デメリット中心に要約

  • 周辺地域・住民にとっては、電波障害、日影、風害、景観などの問題
  • 居住者にとっては、住戸と地上との距離の乖離に加えて、建物の大規模性、多くの共用空間、住戸の閉鎖性等に起因する災害時の諸問題、子供の外出行動の阻害・子育て困難、住環境ストレス、防犯性低下、コミュニティ形成などの問題
  • ライフライン停止時の問題は深刻。建物の被害が少なくても、周辺で大規模火災が発生すれば居住者は階段による避難を余儀なくされる。地震で停止したエレベーターの安全確認が済むまでの間、階段を使って生活物資や飲料水を運ばなくてはならない。
  • (防犯性について)1棟に数百戸が入居するために共用玄関の人々の出入りは頻繁で、外来者も容易に入れることを念頭におく必要がある。
  • 分譲の場合、大規模修繕費用の増加や居住者の合意形成等、管理上の問題がある。

(本日、マンション広告なし)

2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
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