不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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機械式駐車場は使い勝手が悪い

大手町駅直通9分、駅徒歩3分。総戸数77戸、8階建。販売戸数14戸、2LDK(57.38m2)〜3LDK(81.87m2)。販売価格3,120万円〜5,580万円。平成17年3月18日竣工済み(本チラシ掲載日の1カ月前)。

  • 9月4日(土)の物件と同じ。

地下鉄の駅から徒歩3分と交通の便はよし。幹線道路からひとつ入った生活道路に南面しているから、騒音・日照環境的にも良さそうだ。
それなのに、竣工1カ月が経過して、まだ18%(=14戸÷77戸)も売れ残っているのは、なぜか?
エレベータが1台(9人乗り)しかないことや、せっかくリビングが南面しているのにバルコニーが部分的にしかついていないなど、居住者の住まい勝手の悪さが原因しているのかもしれない。
特に、駐車場の仕様には難がありそうだ。
全部で32台(住戸数の約4割分)しか駐車できない。しかも、全て最悪の機械式だ。
駐車場は、平面自走式がベスト。建設コストが安く、維持管理費もほとんどかかからないし、使い勝手もよい。
でも、敷地に余裕がない都会のマンションでは、立体の自走式であればよしとしよう。建設コストは高くなるが、機械を使っていないぶん、維持管理費は安いし、使い勝手も悪くはない。
立体自走式の床材にメッシュと呼ばれる網目状の鋼材を使えば、建築面積に算入されないなどの利点があるが、雨の日の使いが手の悪さや騒音の問題などから、最近ではコンクリート方式が増えてきている。
では、機械式駐車場はなぜ、最悪なのか。
デメリットは、毎月の維持管理費が高いこと、車高の高いRV車などが収納できない可能性があることなど。特にパズル方式などは、車の出仕入れに時間がかかり、使い勝手はすこぶる悪い。
また、機械式駐車場の法定耐用年数は15年。20年もすれば、建て替える必要があるので、将来の建て替えを見込んで、駐車場使用料をも高めに設定しておく必要がある。
安い駐車場使用料に喜んでいるとすれば、かなり危険だ。20年後の建替え時に泣くことになる。
駐車場のタイプ別の建設コスト、維持管理費の目安は、次のとおり(財団法人駐車場整備機構の資料より作成)。

  • 平面自走式:建設コスト(10万円/台〜50万円/台)、月あたり維持管理費(1,000円/台以内)
  • 立体自走式:建設コスト(70万円/台〜350万円/台)、月あたり維持管理費(1,000円/台以内)
  • 機械式(2段・多段):建設コスト(100万円/台〜250万円/台)、月あたり維持管理費(2,000円/台〜4,000円/台)

本物件の機械式駐車場は、3段式(12台収容)と4段式(20台収容)なので、かなりの存在感だ。駅徒歩3分の帰宅で最初に目にするのが銀色で無機質なスケルトン構造物では、1日の疲れが癒されないのではないだろうか。

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2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
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