不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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違いすぎるぞ!モデル・ルーム

大手町駅直通7分、駅徒歩6分。総戸数53戸、14階建。販売戸数27戸、2LDK(58.37m2)〜4LDK(86.74m2)。販売価格3,220万円〜5,270万円、最多価格帯4,600万円台。平成18年3月上旬竣工(本チラシ掲載日の1年後)。

  • 2月13日(日)の物件と同じ。

チラシのオモテ全面にモデル・ルームのリビングの写真が掲載されている。広角レンズで撮影されたのだろうか?南面したバルコニー側の2つの窓もしっかり写っているし、バルコニーの反対側にある対面キッチンのカウンター部分も写真の左端にわずかながら写っている。
また、リビングを隔てる間仕切り壁もフスマもないのに、写真の手前(チラシの下側)のリビングの床の一部分がフローリングではなく、畳仕上げとなっている。
このように、ずいぶんと広いリビングだが、チラシに掲載された4つのタイプの間取り図にはそのような、広いリビングを持った住戸はない。
写真の左下の隅に小さな断り書きがあるのを見つけた。

  • 写真はモデル・ルームAタイプ(メニュープラン※一部有償)を撮影したものです。

Aタイプの間取り図は、4LDK(80.25m2)で、バルコニーに面した部屋はリビング・ダイニング(約11.7畳)と和室(約6.0畳)の2つの部屋からなっている。写真の間取りとは明らかに異なっている。
「メニュープラン※一部有償」に謎を解くカギがありそうなので、電話取材してみた。

  • 筆者「チラシのモデル・ルームの写真はAタイプとなっていますが、間取り図のAタイプと違っているのは、なぜですか?」
  • 男性販売員「モデル・ルームは、和室の間仕切りを取り払っています」
  • 筆者「和室の北側にある押し入れは、そのままなのでしょうか?」
  • 男性販売員「押し入れもなくして、その代わり収納棚を設けています」
  • 筆者「和室の北側にある『洋室(3)』はそのままなのですね」
  • 男性販売員「いいえ、『洋室(3)』の間仕切りも取り払ってリビングの一部としています」
  • 筆者「ということは、モデル・ルームの畳敷き部分は、もと『洋室(3)』があった部分なのでしょうか?」
  • 男性販売員「そうです」
  • 筆者「ということは、間取り図のAタイプは4LDKですが、モデル・ルームは2LDKということですね」
  • 男性販売員「そういうことです」
  • 筆者「チラシには『メニュープラン※一部有償』となっていますが、どういう意味でしょうか?」
  • 男性販売員「モデル・ルームのように和室と『洋室(3)』を取り払って、リビングの一部を和室コーナーとする場合に有料とさせていただいています」
  • 筆者「いくらでしょうか?」
  • 男性販売員「・・・(数秒間沈黙)。1式で約170万円です」
  • 筆者「ということは、Aタイプ4LDK 4,4,70万円をモデル・ルームのように改造すると、さらに170万円かかるということですね」
  • 男性販売員「そのとおりです」

つまり、こういうことだ。
Aタイプの間取り図は、リビング・ダイニング、和室、洋室(1)〜(3)からなる4LDK(80.25m2)であるのに対して、モデル・ルームは、そのうちの和室と洋室(3)を取っ払って大きなリビング・ダイニングを確保した2LDK。
チラシの写真に写ったモデル・ルームがとても広く感じるのは、単に広角レンズで撮影したからなのではなく、実際にもリビング・ダイニングのサイズが間取り図の2倍にもなっていたからだったのだ。
「メニュープラン※一部有償」と注釈しただけで、標準プランの2倍の広さもあるリビング・ダイニングを備えたモデル・ルームは許されるのだろうか?
「不動産の表示に関する公正競争規約」第18条(不当表示の禁止)の「(41)写真・絵図」では次のような表示を不当表示として禁じている。

  • 不動産の規模、形状、構造等について、実際のものよりも優良であると誤認されるおそれのあるモデル・ルーム又は写真、見取図、完成図若しくは完成予想図による表示

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2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
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