不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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管理費・修繕積立金2年間無料のマンションは、買いか?


土曜日、マンション・チラシ4枚。

大手町駅20分(快速利用・途中乗換え)、駅徒歩18分。総戸数47戸、14階建。販売戸数7戸、2LDK+S(66.23m2)〜3LDK(84.65m2)。販売価格2,728万円〜3,398万円。平成17年10月上旬竣工(本チラシ掲載日の8カ月後)。

駅から遠い、小規模マンション。

  • 月々返済7万円台より/ボーナス時無し2LDK+S/66m2台
  • 第1期完売御礼 今なら管理費・修繕積立金2年間無料
  • ※当社が2年間、管理費・修繕積立金を負担いたします。

「2年間無料」のオレンジ色の文字が13mm角の大きなサイズでとりわけ目立っている。
返済例として掲載されている2LDK+S(66.23m2)販売価格2,728万円の住戸の場合には、月々12,030円(=管理費7,390+修繕積立金4,640円)の支払を2年間、売主が負担してくれるというのだ。
2年間288,720円(=12,030円×24カ月)は、分譲価格の1%(=28.8万円÷2,728万円)に相当する。
契約者に家電製品やハワイ旅行をプレゼントするチラシはよく見かけるが、管理費・修繕積立金の2カ年を分売主が負担するチラシを見るのは初めてだ。
「不動産の表示に関する公正競争規約」では、二重価格表示が禁止されているから、スーパーのチラシのように割引価格で集客することが簡単にできない。
管理費・修繕積立金の2年間無料は、実質的に分譲価格の1%割引だが、同規約の二重価格表示禁止条項には抵触していなさそうだ。家電製品やハワイ旅行プレゼントに代わる、新たな販促手法の誕生だ。
無料やオマケで客寄せしておいて、高額な商品を買わせるのは、マーケッティングの常套手段だ。
でも、マンション・チラシにこのような「無料」客寄せ作戦を使うデベロッパーの姿勢は許されるのだろうか。
もし、2年間無料のチラシに釣られてくるような人が多ければ、本物件の将来は危うい。
「月々返済7万円台」は、2年間固定の優遇金利0.7%・35年元利均等返済が前提条件だから、3年目からは金利見直しによるローン負担増が確実だし、管理費・修繕積立金の無料期間終了がローン破綻に向かって追い打ちをかける。
「2年間無料」は、ローン破綻者が出やすく、マンションのスラム化につながりやすい、オキテ破りのとても危険なキャッチコピーだ。

2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
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