不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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マンションの寿命については定説がない

金曜日、マンション・チラシ19枚。

東京駅直通29分(快速利用)、駅徒歩11分。総戸数410戸、14階×3棟+19階×2棟、2LDK(90.13m2)〜3LDK(95.73m2)。平成17年3月竣工(5ヵ月後)。

  • 100年の耐久性を目指した<高規格コンクリート>を採用
  • 居室のスラブ厚さは、<300mm>を確保

専有面積も80m2超と十分な広さを備えているし、チラシにも謳われているように「強固な構造」であることから、永住型のマンションとしての条件の2つは備えている。
100年の耐久性とは、日本建築学会の「建築工事標準仕様書(JASS5)」に定められた、コンクリートの耐久設計基準強度の「長期」が採用されていることを意味している。
つまり、耐久設計基準強度30N/mm2という強度の高いコンクリートを用いることによって、構造体を大規模補修しなくても、およそ100年は利用可能とされているのだ。
通常は、コンクリートの耐久設計基準強度は24N/mm2で、大規模補修不要予定期間としておよそ65年、供用限界期間としておよそ100年だ。だから、本物件は確かに物理的には長寿命の設計が取り入れられていることになる。

でも、マンションの寿命は、コンクリートの物理的劣化よりも、社会的機能劣化で決まることのほうが多い。
たとえマンションが構造的にまだ十分耐用性を有していたとしても、部屋の広さや設備のグレードなどが、その時代の要求水準からかけ離れてくると資産としての価値を失ってしまう。改修・改造工事を施すよりも、いっそ新築マンションに乗り換えたほうが安いというわけだ。
マンションの穏やかに進む物理的劣化や社会的機能劣化の終末期をどこに線引きするかは技術的に難しい。また、区分所有者の総意によって建て替え時期を確定するのは、さらに難しいことだ。
マンションの寿命については、物理的耐用年数についても、経済的耐用年数についても、定説がないのが現状だ。

ところで、本物件は、駅徒歩11分と便はいいのだが、線路のすぐ南に建っている。マンションの南側以外のサッシは、遮音性の高い二重サッシが採用されているが、一年中窓を閉め切っているわけにはいかない。よって、永住型のマンションとしての3つ目の条件を満足していない。残念!

2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
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